中国政府が、昨年12月中旬に本土の株式・債券市場への人民元投資を解禁する適格海外機関投資家(RQFII)制度の導入を発表して以来、香港証券先物委員会(SFC)は、1カ月間で15本のRQFIIファンドが承認された。
香港政府の今回の迅速な対応は、香港のオフショア市場から本土への資金の流れを促すことを目的としていると同時に、柔軟な双方向の外国為替制度の運用強化を目指している。
グローバル経済が不透明性を増し、人民元が段階的に上昇するとの見方があるなかで、RQFIIファンドは、ディフェンシブな性格を持ちつつキャピタル・ゲインが狙える。オンショアRMB(人民元)債利回りは、概ねオフショアRMS債(ディムサム=点心債)を上回っている。
いわゆるRQFIIは、制度を通じてオフショア人民元資本の債券や株式市場への直接的なエクスポージャーを確保することができる。RQFIIとQFIIファンドとの大きな違いは、QFIIがまず、外国通貨を人民元に交換したうえで、中国の債券と株式市場で運用する。
中央銀行の規制に従い、RQFIIでは、運用資産のうち80%を本土の債券市場に投資することを義務付けられている。この債券には、さまざまなタイプの債券と債券ファンドが含まれている。残りの運用資産は、A株に投資される。
RQFIIでは、債券型の金融商品に投資されることで、ディフェンシブの性格が極めて強いと言える。これと比較して、QFIIは、おもにA株に投資することから、投資アプローチは、比較的にアグレッシブで、それなりの投資リスクが伴う。
導入当初の反応は極めてポジティブで、香港で販売されるディムサム債の地位に取って代わるとの懸念がある。
製品特性の差により、RQFII製品とディムサム債は、相互補完的な立場にある。現時点では、RQFIIの上限は200億人民元に設定されている。
この上限は、近い将来に引き上げられるとみられているが、香港の現在のRMB預金残高と比較すると、依然として人民元投資需要を満たすには程遠い。香港金融庁の統計によれば、香港の人民元預金残高は、2009年の600億人民元から、2011年12月には10倍の5885億人民元に造塊している。
さらに、香港のディムサム債市場は、ここ数年のあいだ急速に拡大している。いまでは、ディムサム債は、80以上の金融機関が発行しており、発行総額は1060億人民元を超える。
DBSバンクの最近の調査によれば、昨年末時点でのディムサム債の発行残高は、4000億人民を超えている。加えて、ディムサム債のデュレーション(満期)は、通常1年から3年に設定されている。これと比較して、オンショア債券は、平均6年だ。
オフショア投資家の多くは、人民元の上昇のメリットを享受するために、償還期限が短い債券を好む傾向がある。
加えて、ディムサム債の平均利回りは、2001年年央から2倍の4%に上昇しているだけでなく、1月中旬以来オンショア市場と比較してオフショア人民元の上昇が著しい。人民元はオフショア市場で、オンショア市場を上回って推移しており、ディムサム債の支援材料となっている。
現在まで、短期ディムサム債は、満期まで保有する傾向が強いリテール投資家にとって、魅力的だと言える。
しかしながら、投資家が注目すべきは、オンショア債が国際的な情報の透明性基準に必ずしも合致していない点にある。オンショア債券市場は、依然として中央政府の支配が強く、国内投資家偏重の傾向が強いことは事実であることに加え、こうした債券の一部は、国際的な格付け基準にも合致してはいない。
ディムサム債市場は相互補完関係にあり、RQFII製品によって、完全に取って代わることはないと言える。
RQFIIとQFIIの2つを比較すると、オンショアRMB債は、リスクが高いと言える。ディムサム債市場の透明性はより高く、したがって、リスクの面では優位性がある。
投資家は、この互換性を持つ2つの製品の違いを確かめることが可能だ。RQFIIは、キャピタル・ゲインの優位性があることは事実だ。
RQFIIの段階的な拡大は、RMB交換レート制度自体の改善をサポートするだけでなく、柔軟な為替制度の実質的な導入によりRMBの国際化を促す。